昨年から今年にかけて、日産勢は苦戦を強いられてきた。それだけに、序盤からトップに立つなど終始アグレッシブな走りを見せての優勝は、今後に光明をもたらす内容だった。しかし一方で、そのレースにおいて彼らに「快進撃を許さず立ち阻むルーキー」がいた。それが今回、GT500クラス初参戦で2位表彰台を獲得した坪井翔(DENSO KOBELCO SARD LC500/ナンバー39)だ。

TOYOTA GAZOO Racing スーパーGT第2戦富士 レースレポート

坪井翔選手とは??

2015年に「若手ドライバーの登竜門」として新しく始まったFIA-F4選手権でシリーズチャンピオンを獲得した坪井は、翌年から全日本F3選手権へとステップアップ。2017年は第10戦の鈴鹿でF3初優勝を飾ると、同シーズン後半は7連勝を含む9勝をマークしてランキング2位になった。今シーズンもF3に参戦し、さっそく開幕ラウンドの鈴鹿では2連勝を飾っている。
2018スーパーGT第2戦富士
また、スーパーGTには昨年からGT300クラスにフル参戦を開始し、中山雄一とのコンビでシーズン2勝をマーク。スーパーGTシリーズ初年度ながらランキング3位という好成績でシーズンを終えた。そして今シーズンは「町工場のGT王者」として知られる名門つちやエンジニアリングに加入。開幕戦の岡山では3位に入る好スタートを切った。坪井はつちやエンジニアリングからGT300クラスにレギュラー参戦している。ただ、第2戦のみ前述の理由で39号車にレンタル移籍する形となり、GT500クラスを経験することになったのだ。

LEXUS TEAM SARD スーパーGT第2戦富士 レースレポート
 決勝を想定した連続走行(ロングラン)もできず、新品タイヤを履いてタイムアタックのシミュレーションも未経験――。そんな状況で決勝レースを迎えた坪井に、いきなり重要な場面で出番が回ってくる。5番手からスタートしたコバライネンが渾身の追い上げを見せてトップに浮上し、首位をキープしたまま坪井にバトンタッチすることになったのだ。ピットはトップを争っている23号車のニスモとほぼ同じ周回・タイミングになったことから、コースインをすることに、タイヤが温まっておらずコントロールが難しい1周目を難なくクリア。この時点で2番手の23号車とのマージンは僅か2秒差だったが、坪井は周回を重ねるたびに安定感を増し、後続との差を7秒にまで広げた。

決勝のダイジェスト動画

「(後ろとの間隔は)ずっと見ていました。でも、そんなに背後に迫ってくるほどの差ではなかったですし、単独で走っていれば(39号車のほうが)速そうだったので、GT300との混走で(遅いマシンに引っかかって)タイムを落とさないことのほうが大事だと思い、自分のペースを落とさないようにしました」

ニッサン スーパーGT第2戦富士 レースレポート
坪井の冷静な走りに対し、23号車をドライブしていた松田は驚いたという。

「タイヤのウォームアップやGT300との混走の処理を見ていると、とても新人とは思えない走りで、後ろから追いかけながら感心してしました」

松田次生選手の目線は下記の動画に….

また、坪井の走りをピットで見守っていたコバライネンも大絶賛した。

「彼はテストでクルマに乗る機会がなくて、ほとんど走り込めなかったんだけど、とにかく強いし、自分の走りに自信を持っている。レース中もまったくミスがなかったし、重要なポイントをちゃんと理解しながら走っていた。 だから正直、そんなに心配していなかった。後ろとの間隔をしっかり保っていたし、ときどき後続を引き離す走りも見せてくれた。ぜひ、彼の名前を覚えておいてほしい。きっと将来、とても手強いGT500ドライバーになると思うよ」

坪井翔選手の驚異の走りは下記の動画に…

結果はレース終盤のピットストップで23号車に逆転を許し、コバライネン/坪井組は2位となった。だが、レース後の表彰式でふたりは満面の笑みを見せていた。レース後、坪井はこう語る。

坪井選手 のコメント

「(収穫は)かなり大きいと思います。GT500のトップチームで乗ることができて結果も出せたので、それは自信につながるし、モチベーションにもなります。GT500で経験したことを25号車(つちやエンジニアリング)に持ち帰れば、さらによくなると思います。2クラスの混走のなかで、追い抜く側と追い抜かれる側の両方を経験できたのもよかったです。 GT500はプロの人たちが集まっているので、そんなに簡単にはいかないだろうと思っていました。ですが今回、本当にいいクルマといいタイヤが用意されて、ヘイキ(・コバライネン)さんもいろいろ教えてくれたおかげで、しっかり走れました。本当に感謝です」

今後の活躍に期待!!

今回の活躍により坪井翔選手のGT500クラスレギュラー参戦する日がぐっと近づいた!!昨年まで同チームに所属していたWedsSport ADVAN LC500を駆る山下健太選手の背中を追う様に!!

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優勝者コメント

松田次生選手

「まさか自分が(GT500通算)20勝を達成できる思いもしませんでした。スタート前は立川さんに並ばれるかなと思ってドキドキしていたくらい(笑)」「こうやって優勝できたのはチームスタッフのみんなのおかげでもありますし、20勝のうち半分近くはロニー選手と獲っているので、ロニー選手にも感謝したいです。これからも記録を伸ばして、25勝、30勝と行けるよう努力していきたいですね」「今日はロニー選手が最初と最後(のスティント)、僕が真ん中(のスティント)を担当する流れ。序盤はロニー選手が苦しそうで僕も大変な状況になるだろうなと思ってました」「ただウォームアップが良さそうだったので39号車(DENSO KOBELCO SARD LC500)に(前へ)行かれた時になんとかアウトラップで抜けるかなと思っていましたけど、坪井選手は新人とは思えないアウトラップとGT300の処理でした。正直、感心しながら走ってました」「ただ、そんなこと言っていたらダメなので、どこで抜こうかと考えていたら運悪くイエローフラッグが出ている区間でアウトラップのGT300に引っかかってしまい、一気に7秒くらいまでギャップが広がって、そこからなかなか詰められませんでした」「チームからは近づけば勝てるかもしれないと言われていたので頑張ってプッシュして、インラップは(ピットに)入る時も四輪ロックさせながらギリギリまで攻めてましたね」

ロニー・クインタレッリ

「昨日の予選でポールを取るポテンシャルがクルマにはあったのに、3番手だったので個人的には悔しかったです。今日のスタートはジャンプスタートだけはしないように注意しましたね(笑)」「そのなかでも、(シグナルが)青になった瞬間の反応が良くて、それで1コーナーで1台抜くことができました。そのあともプッシュしたらダンロップコーナーで立川選手とバトルになって。すごくフェアなバトルでしたね」「路面ができあがっていない状況(での走り)が僕たちのウイークポイントになっていて、トラフィックもあって(タイムを)ロスしました。それで39号車にも抜かれてしまいました」「僕も次生と同じように(第2スティントの)アウトラップで抜けると思ってましたけど、39号車のペースが良かったですね」「NISMOのスタッフもできる限り頑張ってくれている。総合力でランキング1位を維持し続けたいですね。次生は最多勝(記録更新)を狙ってますけど、僕は早く5回目のチャンピオンが獲りたいです(笑)」